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年次有給休暇の「計画的付与制度」

 有給休暇の取得率向上は、モチベーションの向上・離職者の低下に重要な福利厚生制度です。取得率の向上と、業務影響の観点から「計画的付与制度」が非常に有効です。

有給休暇取得率向上の重要性

 年次有給休暇の取得では、未だ企業(経営者)により温度差が非常に大きく、未だ実態として取得率が低い企業も多くあるのが実態です。
 しかし、ワークライフバランスに代表する働き方改革の世間の広まりと、労働者の認知。労働者不足が深刻となるなか、離職者の低下をモチベーションの向上は、日々大きくなる経営問題です。
 労働者不足に直面している経営者は、年次有給休暇の取得について考えを改めることが求められます。

・「計画的付与制度」のメリット

 年次有給休暇の取得日は、企業側は時季変更権を有しているものの、労働者の希望する日に取得することが原則です。
 「計画的付与制度」では、年次有給休暇のうち、5日を超える分については、労使協定を結べば、計画的に休暇取得日を割り振ることができる制度です。

・事業主のメリット
 複数人の従業員の有給休暇取得日が重ならない。又は、重ねるなど取得日を調整することで業務影響を意図的に調整することができます。
 労働者の申し出がなくても、取得日を定めることができるため取得率の向上。有給取得率の労働者内の取得差(多い・少ない)を緩和することがでいます。
 取得日を示すことで、労働者の取得に対する遠慮や躊躇いを与えることなく、休みを活用させることが出来ます。

・労働者のメリット
 有給休暇取得日に対して業務を予め調整することで、自己で休みを調整し難い労働者でも休みが取得できるようになります。
 有給休暇取得に遠慮や躊躇いを感じずに取得することができます。

・計画的付与による有給休暇手続き

 「計画的付与制度」では、就業規則に明記、労使協定、付与日数(年次有給休暇のうち、5日を超える分)に関することを除くと、法令に特段の定めがあるわけではありません。
 しかし、事業者と労働者の相互利益を得るためには会社の事業予定と労働者の意向と確認し調整することが必要となります。
 労働者の中には「計画的付与制度」に関係なく、有給休暇取得予定を持っている者がいることを前提に、調整しなければなりません。

・一斉付与による休暇
 企業や工場単位。グループ単位で休業することで有給休暇を一斉付与することができます。
 一斉付与では、年間カレンダー等を用いて早い段階で周知することができるとともに、忙しい部署で普段休みを取り難い労働者でも、気兼ねなく休むことができます。

・個別付与による休暇
 労働者に対し意向調査を実施した上で取得日を定めるとき、期間を区切って予定する計画的付与日数分の希望日を確認するなどの方法があります。
 このとき、「計画的付与」で有給休暇となる日は早い段階で案内できるよう、配慮が必要となります。


・「計画的付与」等に関する義務化の流れ→2019年より義務化

 有給休暇の取得率は、2020年の目標値70%が掲げられ、企業に対する啓発や法制度の整備が進められつつあります。
 2015年(平成27年)労働基準法改正案では、見送りとなりましたが「10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対し、5日について毎年時季を指定して与えなければならない。」と有給休暇義務化へむけた審議が行われました。
 実態として有給休暇取得が難しい企業においても、今後は取り組まなければならない課題となっています。

・有給休暇の年5日以上取得が義務化

 2019年(平成31年)4月より10日以上の年次有給休暇が付与された労働者に対して、5日以上の有給休暇を所得させることが義務化されました。
 有給休暇の取得が5日未満となる労働者は、事業主は有給休暇の日を指定して取得させることが義務化となります。
 なお、計画的付与により年5日以上、または労働者の申し出により取得する有給休暇が5日に含まれます。
 違反すると30万円以下の罰金が課せられます。

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