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表彰の税金と税務処理

表彰対象と内容に関する税務処理の具体例です。
 一重に表彰と言っても、表彰する対象や賞品の金額は様々。表彰対象と商品内容に関する分類と具体例です。

表彰理由による給与所得、雑所得、一時所得と異なる税務処理が行われます。

・表彰対象による分類

・個人
 個人毎の賞品を贈呈する場合の賞品。
 受取人が明確であるため、課税する対象と対象額が容易に判断することができ、受取人に対して課税処理を行う。

・グループ(団体)
 チーム。部署等の複数人が対象となる団体に賞品を贈呈する場合。
 チーム・部署人員が明確に確定している場合には、均等割り等により課税を行う。
 チーム・部署人員が不明確である場合には、代表者に一旦課税する等の処理を行う。

・表彰対象との関係による分類

・自社社員
 自社と直接雇用契約を結ぶ(給与の払い出しをしている)社員であっては、基本的には給与として払い出し給与所得として源泉徴収を行います。
 但し、表彰される理由(分類)によって課税区分がかわる場合があります。

・取引先、派遣社員、請負社員
 自社と直接雇用契約を結ばない(給与の払い出しをしていない)社員等は、交際費として払い出しをします。受け取る側は確定申告による一時金としての納税義務を負います。

・その他協力社員や外部団体
 外部団体・協力会社に対する表彰により賞品を贈呈する場合、税務問題は難しいため、現金・金券等の課税される物は一般的に用いません。
 このため、賞品を交際費として払い出しのみを行います。
 ※税務上、後になって表彰された側に多大な迷惑をかける可能性があるため、課税される賞品の受け渡しはしないことがマナーです。
 尚、現金等でどうしても出来ない訳ではありませんので、その時は税理士等の事前の相談が必要です。

・賞品に関する分類

・現金
 現金による賞品は、少額であっても原則所得として扱われ課税対象となります。
 表彰される理由(分類)により給与所得。一時所得。雑所得として課税されます。
 法人には給与所得となる場合、源泉徴収義務が発生します。

・金券類(図書カード・クオカード・商品券)、カタログギフト
 旅行券など換金性の高い賞品。自分で内容を選ぶことが出来る選択性の高いカタログギフト等は、現金同様に所得として課税されます。

・物による賞品
 賞品として相当額と認めれる範囲の賞品の場合、福利厚生費として払い出し、受け取る側は課税されません。
 しかし、商品の時価が相当額を超えて高額となる場合には、所得として課税されることがあります。


・表彰理由による分類

 賞品が課税対象となる場合、その表彰理由により給与所得、雑所得、一時所得に分類されます。その代表的な分類です
・給与所得とる理由
 社員が通常の業務の範囲内の功績で受け取った賞品
 例:業務の改善、工夫、安全運転、その他の業務上の功労等による表彰

・雑所得となる理由
 発明等により特許権、実用新案登録等の功績に対する対価として受け取った賞品
 例:研究室に勤務し、研究成果が実り会社はその特許権得た。その厚生気に対する表彰

・一時所得となる理由
 社員が通常の業務の範囲を超えた功績で受け取った賞品 
 例:勤務時間中に急病人を発見し、業務を中断して救護活動を行った。自身が関係のない他部署の業務改善等を手伝った。

 ※課税区分はその取得に継続性があるかでも分類が変わります。一時所得に分類されている内容でも、報奨が継続的に続く場合には雑所得となる場合があります。

・用途による分類

 賞品として現金を贈呈した場合であっても、実際の使用された用途が福利厚生となる物であった場合には福利厚生費となる場合があります。
 ただし、後々解釈の相違が発生しないよう初めから現金から物に変更して贈呈する方が望ましいです。
 例:
 団体表彰として3万円を受け取ったが、団体として職場で使用する機材(加湿器・冷蔵庫等)を購入し共同利用することとした。


・金額に関する分類

 賞品を記念品等の物にした場合、その価格の妥当性から課税される場合があります。
 金額の妥当性について、私の知る限り国税庁より「創業記念品や永年勤続表彰記念品」(ページ下部にて引用)に対する基準以外で明確なものは存在しないかと思います。
 社会情勢と表彰される内容。商品の金額が総合的に判断されその都度見解が示されます。

・具体例:
 ① 親睦会にてじゃんけん大会を行った。優勝者には10万円相当の腕時計が贈呈された。
 税務署より指摘があれば確実に給与課税にる範囲です。
 過去に、税務署より報奨金等の福利厚生費扱いで問題となった企業では、課税しておく方が無難といえる金額です。
 しかし、優勝者のみに5万円相当の賞品は社会通念上妥当と言える範囲です。
 これが10万円を超えている場合、社会通念上妥当とは言えない範囲ではないでしょうか?

 ② 団体表彰により共同で使用するコーヒーメーカー兼サーバー(メンテナンス込)、実質価格20万円が贈呈された。表彰対象となる団体は約20人であり、その功績はとても大きなものであった。
 金額からの妥当性としては高額ではあるものの、対象人数が多いため問題となる範囲ではありません。
 また、共同使用物であり、さらに用途から福利厚生に資する物であるため当事者の課税問題は発生しません。  

 ③ 親睦会にてじゃんけん大会を行った。参加者30名に対して優勝者1名に5円相当。5名に3万円相当。10名に2万円相当の賞品が贈呈された。
 ①のケースと似ていますが、単にじゃんけん大会としては、30名規模に対して16名(過半数)が万単位の賞品を受け取る。
 個別でとらえると問題とはなりませんが、全体全体で考えると30名に対して総額40万円。社会通念上妥当とは言い切れない範囲です。
 ○十周年記念等の特別行事であれば問題となる可能性は低いですが、定期的(半年又は一年毎)に同様の規模で行っている場合、問題となる可能性があります。

 ④ 団体表彰により現金5万円を贈呈した。団体表彰となる対象者は表彰に関する貢献度を鑑みて按分にて再分配を行った。
 再分配後の対象者が受取側に任されているため、会社側は正確な分配を知ることができません。
 しかし、現金であることから給与所得としての源泉徴収が必要です。5万円全額を団体表彰代表者に対する給与所得として源泉徴収を行います。
 代表者は、課税されるため再分配時に課税額を補てんする等運用上で対処してもらいます。
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