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過重労働と労災の認定基準

長時間残業などの過重労働にある従業員の脳・心臓疾患等は、
 メンタルへの異常は、労働者災害として認定され、
  事業者にも労働法違反としての行政指導。賠償責任等が発生します。

長時間労働は残業代の割増賃金だけでなく、万が一の時には処分や賠償義務が発生します。

 労働法では、労働者の労働時間は週40時間と定められ、これをこえる時は協定(36協定)により一定の範囲で時間外労働をさせることができます。
 しかし、この協定を超える長時間に渡る残業時間では、疲労の蓄積により発症が疑われる疾病について労災の適用や、事業者に対する安全配慮等の労働法違反に関する処分。本人及び家族等のから損害賠償を求められることがあります。

・労働法に基づく時間外労働(残業)の限度に関する基準
 36協定で定める延長時間の限度時間
   期間  限度時間(対象期間が3カ月と超える1年単位の変形労働時間制の場合)
  ・1週間・・・15時間(14時間)
  ・2週間・・・27時間(25時間)
  ・4週間・・・43時間(40時間)
  ・1ヶ月・・・45時間(42時間)
  ・2ヶ月・・・81時間(75時間)
  ・3ヶ月・・・120時間(110時間)
  ・1年 ・・・360時間(320時間)

・過重労働による労災の認定基準
 厚生労働省は、脳・心臓疾患の労災認定基準として、2021年9月14日付で労災認定基準を改正し、「血管病変等を著しく増悪させる業務による脳血管疾患及び虚血性心疾患等の認定基準」を通知しています。
 通知内容は、改正前の発症前1か月間ないし6か月間にわたっておおむね45時間を超えて時間外労働時間が長くなるほど、業務と発症との関連性が徐々に強まる。としていた基準に加え、労働時間と労働時間以外の負荷要因を総合評価することを明確化。
 長時間の過重業務、短時間の過重業務の労働時間以外の負荷要因を見直しなどが追加されました。

・長時間の過重業務
 ・労働時間と労働時間以外の負荷要因を総合評価して労災認定することを明確化
  ・発症前1か月間に100時間または、発症前2~6か月平均で付き80時間を超える時間外労働は、発症との関連性は強い
  ・月45時間を超えて長くなるほど関連性は強まる
  ・発症前1~6カ月間平均で月45時間以内の時間外労働は、発症との関連性は弱い
  + 一定の労働時間以外の負荷
  業務と発症との関連が強いと評価することを明示
 ・労働時間以外の負荷要因
  a 拘束時間の長い勤務
  b 休日のない連続勤務
  c 勤務間インターバルが短い勤務
  d 不規則な勤務・交替制勤務・深夜勤務
 ・事業場外における移動を伴う業務
  a 出張の多い業務
  b その他事業場外における移動を伴う業務
 ・心理的負荷を伴う業務
 ・身体的負荷を伴う業務
 ・作業環境
 長期間の過重業務の判断に当たっては、付加的に評価すること。
  a 温度環境
  b 騒音

・短期間の過重業務・異常な出来事
 ・特に過重な業務
 発症前おおむね1週間に継続して深夜時間帯に及ぶ時間外労働を行うなど過度の長時間労働が認められる場合
 ・異常な出来事
  ①業務に関連した重大な人身事故や重大事故に直接関与した場合
  ②事故の発生に伴って著しい身体的、精神的負荷のかかる救助活動や事故処理に携わった場合
  ③生命の危険を感じさせるような事故や対人トラブルを体験した場合
  ④著しい身体的負荷を伴う消火作業、人力での除雪作業、身体訓練走行等を行った場合
  ⑤著しく暑熱な作業環境下で水分補給が阻害される状態や著しく寒冷な作業環境下での作業、温度差のある場所への頻回な出入りを行った場合等には、業務と発症との関連性が強いと評価できることを踏まえて判断すること。

詳しくは(外部リンク):
厚生労働省 > 報道・広報 > 報道発表資料 > 2021年9月 > 脳・心臓疾患の労災認定基準を改正しました
https://www.mhlw.go.jp/
stf/newpage_21017.html



長時間労働による労災事案があったとき

 過重労働(長時間労働)による疾病の発症は、事案に至る前に労働環境を改善すべき事柄です。
 しかし、実際には業務の都合や会社の方針等により、継続的に長時間残業等の過重労働状態にある者が多く存在し、過重労働にある者が、そのことが原因と思われる疾病を発症した時について、労災認定と企業に対する影響等です。

・労働基準関係法令で送検されたとき

 2017年5月より労働基準関係法令(労働基準法・労働安全衛生法・最低賃金法・労働者派遣法など)違反により書類送検された場合、厚生労働省のページにおいて「企業・事業場名称、所在地、公表日、違反法条、事案概要」などが公表されています。
 2017年5月以前までは労働基準関係法令違反による公表は、都道府県労働局において企業名を伏せるなど独自の基準で公表していましたが、2017年5月より基準が統一され社会や応募者等が労働基準関係法令違反の企業情報を入手し易くなり、法令違反をした企業に与える影響も大きくなりました。
 労働基準関係法令違反にかかる公表については、
 外部部リンク:厚生労働省 > 長時間労働削減に向けた取組
 http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/151106.html
 ページ内「労働基準関係法令違反に係る公表事案」が労働基準関係法違反で書類送検した企業名の一覧です。

・ブラック企業として名声をはせたとき

 弁護士や作家、大学教授等の有識者によるブラック企業大賞企画委員会は、2012年より毎年ブラック企業の頂点を決めるブラック企業大賞を実施。
 対象は主に知名度が高い大企業ですが、ブラック企業大賞にノミネートされるとノミネート理由。各賞の受賞では受賞理由がなどが公表され、Webニュース等でも話題となっています。
 なお、ブラック企業とは長時間労働等の過重労働だけででなく、パワハラやサービス残業などの違法な労働が常態化している企業を言います。

 ブラック企業大賞については、
 外部リンク:ブラック企業大賞
 http://blackcorpaward.blogspot.com/
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