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新型コロナと熱中症対策の両立

 新型コロナウイルス感染症拡大防止のための対策が行われる環境下においても、5月から夏季は熱中症対策が重要な期間となります。
 外出自粛や職場等の業務中のマスク着用。休業状態からの復業や業務時間の変更等により、例年以上に熱中症発生が懸念されます。更に熱中症患者により医療崩壊が懸念され、対策の両立が課題となります。
 暑熱順化やマスク着用による影響を考慮した熱中症対策が重要です。

熱中症に関する企業の社会的責務

 新型コロナウイルス感染症により医療機関が圧迫される中、熱中症が例年程度発生することで医療機関の更なる圧迫により医療崩壊が懸念されています。
 熱中症対策は従来より安全配慮という重要な企業責務です。しかし、新型コロナウイルス感染症により医療機関が圧迫される中において、医療崩壊を起こさないための社会的責務と捉えらることが予想されます。


両立するための対策

1.暑熱順化(暑さへの慣れ)の考慮

 休業状態からの復業。減少した業務量からの回復する場合、段階的に業務時間や業務量を引き上げるなどして暑熱順化(暑さへの慣れ)のための期間を設ける。
 休業や短縮した業務時間からの戻る社員等に対し、体がこれまで以上に熱中症になり易いということを周知する。体調異常時には熱中症の可能性を考慮した行動(休憩・水分補給)を教育する。

2.水分補給のルール化

 マスクを着用していることにより、コマメな水分補給が疎かになる恐れがあります。
 マスク着用により水分補給が疎かになっている状況が見られる場合、水分補給のための小休憩(水分補給)を定めることが必要です。

3.水分補給時のマスクの着脱の対策

 職場や業務中等の集団内での水分補給に伴うマスクの着脱は、新型コロナウイルスの感染拡大が懸念されます。
 水分補給あたり、指定場所へ移動しての水分補給を定める。
 集団内から離れられない業務では、マスクの着脱を伴わないストロー使用による水分補給を定める。
 普段からストローの使用や、ストロータイプの水筒使用の奨励を行う。

4.マスク着用による暑さの考慮

 ・エアコンの設定温度の見直し
 クールビス等の取組により、ここ数年エアコンの温度設定が従来より高く設定されいます。マスク着用により熱がこもることを考慮し、エアコンの設定温度を下げるなどの見直しを行う。

 ・熱中症対策用品の追加導入
 屋外業務やエアコンが使用できない環境では、例年以上に熱中症対策用品を追加導入する。

 ・業務時間の短縮、休憩回数の増加
 新型コロナにより業務量が回復していない場合には、業務時間の短縮。休憩回数を増やすなど、時間当たりの業務量を減らし労働による負荷を低減する。

 ・夏用マスクの導入する
 夏季に向け接触冷感機能と通気性が高いことを特徴とした「夏用マスク」が各メーカーで開発と販売がすすんでいます。
 「夏用マスク」について僅かな性能差であっても、常に着用するため影響が大きいこと見込まれます。業務用に「夏用マスク」の配布と着用を義務付けを行います。

5.アルコール消毒薬の管理の徹底

 水分補給による飲料行為やマスク着脱行為では、感染予防にアルコール消毒薬を多用することが見込まれます。しかし、エタノールを主成分とする消毒薬は、夏季では高温により揮発し易く可燃性のある危険物です。
 アルコール消毒薬は、水分補給行為が新型コロナへの感染原因とならないよう使用される適切な場所に設置し、直射日光や高温に晒されることがないよう、より徹底した管理が必要です。

6.換気(常時換気)とエアコンの両立

 密閉を回避するため換気は、室内における感染予防に重要な対策です。しかし、夏季にエアコン使用時での換気は、熱中症対策として行う室温管理に大きく反するため、両立するために工夫が必要となります。

 ・部屋全体の冷却を考慮
 ① 外気の取組口付近に向けてエアコンの吹き出し口を調整する。
 ② エアコンから吹き出す冷気をサーキュレータ等により外気の取組口付近に送る。
 ①②から換気による空気の流れで室内に冷気を拡散させる。

 ・吹き出し口の局部的な低温、部分的な高温の緩和
 ③デスク等の配置替えを行い、エアコンの吹き出し口付近。空気の流れが悪い箇所や、陽射しによる高温となる場所を使用しない。
 ④従来以上にサーキュレータ等により空気を拡散させ、寒暖差を小さくする。

 ・エアコンの冷却能力不足の補完
 換気することにより根本的にエアコンの能力不足する。空気の流れによる室温の温度差や日差し等の影響がある場合には、冷却を補う追加対策が必要です。
 ⑤扇風機を併用して従業員に直接風をあて、体感温度を下げる。
 ⑥強い日差しによる影響がある場合には、ガラスへの遮熱フィルを施工する。
 ⑦エアコンの追加設置。入れ替えにより冷房能力を強化する。

 ・スポットクーラーの活用
 スポットクーラーは、デメリットも多いですが冷却が必要な箇所に簡単に設置することができるため、換気との両立に非常に相性が良いクーラーです。
 ⑦ 外気の取組口に設置することで、高温の外気が室内に広がらないようにする。
 ⑧ 重労働や発熱を伴う作業。直射日光等による影響を受ける作業者に直接冷風を当てて冷却する。
 →スポットクーラーのメリット・デメリット
  スポットクーラーは移動や設置が容易であるため、必要な場所で直に使用することが出来るメリットがある反面、冷風の吹き出し口以外の周囲に放熱するため、室温は全体でみると温度が上昇するなどデメリットも多くあります。しかし、排熱を屋外に排出するなど適正処理すれば、室温が上昇するデメリットを解消することもできます。

 ・換気窓や換気扇。吸気口改修による空調効率の向上
 オフィスや店舗では、効率を重視した嵌め殺し窓が多く採用されているため、換気できる窓が少なく、正面ドアを開放するなどして換気を行っています。
 気温や湿度が上昇すると、非効率な換気を行うことで空調(冷房や除湿)能力の不足。昆虫が室内への侵入するなどの問題が発生することで持続的に十分な換気を行えなくなるため、必要に応じて換気のための改修等が必要となります。
 →新型コロナウイルスでの梅雨や夏季での換気とエアコンの両立
 新型コロナウイルス感染予防のために行われる換気は、梅雨に向かうに連れて上昇する気温と湿度により室内の不快指数が上昇します。また、飲食店等では上昇する気温と湿度により食中毒の懸念や、発生する昆虫の室内への侵入するなどの問題によりエアコンとの両立と換気方法の見直しが必要となります。

 ・換気から空気清浄機への切り替え
 虫等の室内への侵入。室温の管理が出来ない。換気を行うとエアコンの冷房能力が大きく不足するなどして換気の実施が難しい時の対策として、空気清浄機への切り替えも手段の一つです。
 空気清浄機の新型コロナウイルスに対する効果は、現時点で未検証であるため過度な期待をすることはできません。しかし、機種によっては使用するフィルター(HEPAフィルター等)によりウイルスを吸着・分解する効果が期待できるもの。放電現象(ストリーマーやプラズマクラスター等)によりウイルスの不活性化が期待できるもの。単純なフィルターによる空気清浄効果であっても飛沫感染や、空気中に漂う浮遊物にウイルスが付着して広がる感染をある程度させることが期待できると考えられています。
 新型コロナウイルスに対する空気清浄機の効果については、今後の情報(検証情報)が注目されます。
 2020年9月、シャープのプラズマクラスターは新型コロナウイルスの減少効果を実証しました。

 ・オゾン発生器と加湿器の利用
 2020年8月、人体の影響がないとさる低濃度(0.1ppm)のオゾンでもウイルス量が減少し、感染リスクが低下することが確認されています。
 確認された効果:
 ・湿度80%でオゾン濃度0.1ppmのもと10時間後には感染力のあるウイルス量が4.6%に減少。
 ・湿度80%でオゾン濃度0.05ppmのもと20時間後には感染力のあるウイルス量が5.7%に減少
 ・湿度55%では湿度80%より効果が低下。
 オゾン発生器と加湿器を併用することで、換気が困難な場所での対策として期待されます。

その他

 2020年、新型コロナウイルス感染症拡大の環境下における熱中症シーズン到来は初の経験となり誰しも手探り状態です。
 常に新たな情報を入手し、よりよい両立した対策を取り込み実施しなければなりません。
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2023年5月から変更後:5類「コロナ2019」引き下げによる変更内容

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